The Secrets of Finnish Sauna Design(Lassi A.Liikkanen)

フィンランドのサウナデザインの秘密(ラッシー.Aリッカネン)
「SAUNA」を熟知しているフィンランド人からサウナ設計のいろはを学びたく手にりました。
因みに日本語版はなく英語版でした。
著者はラッシーリッカネン氏。サウナ学webサイトSaunologia.fiの創設者であり、サウナのあらゆる記事を執筆しています。

本書は良質なサウナ体験の為の設計をあらゆる側面から説明しています。

「ロウリュはサウナの魂」という格言がフィンランドにはあるように、良質なサウナは、良質なLÖYLYを楽しめるサウナです。
良質なLÖYLYは、様々な要素があります。
熱源、ストーブ、ストーン、換気、対流、壁や天井、ベンチの材質、高さ、配置、部屋の明るさ等。勿論安全面も重要です。
印象的だった2つを私の体験と共に書いていきたいと思います。

ロウリュの法則
フィンランドのサウナは、心地良いロウリュを浴びられるようヒーターとベンチ、天井の高さ関係が計算され造られています。
本書で紹介されている、フィンランドの作家サカリ・パルシが提唱した、ロウリュの法則のように、足はヒーターの上部より高い位置になることが重要です。そうしないと足が冷たく感じます。

これは私がフィンランドのサウナを体験して、印象に残った一つでした。
フィンランドのサウナのストーブは床に埋め込まれていたり、低い位置にあることが多く、座った時の足の位置がストーブより高い位置にありました。
更に最上段に座ると、頭上が天井すれすれの位置になることが多かったです。

Saanaの床に埋め込まれたヒーターとベンチ
Kuusijärviのヒーターとベンチ

空気等の気体は温まると上に行き、冷たい空気は下に溜まります。
このロウリュの法則により足先が温まり、ロウリュを存分に感じることができます。

日本のサウナは足元が温まりにくい傾向があると感じます。
水風呂は必ず足先から入ります。
その足先が温まりきっていないことも、水風呂が苦手な人が多い要因のような気がします。

フレッシュエアー
空気の質は良いサウナの重要な要素です。

良いサウナには、換気が不可欠で換気には自然換気と強制換気があります。
自然換気は、薪ストーブそのものや、換気口での換気やダクトによるものがあります。

換気口はロウリュにより水が気体に変化した際、体積が膨らみ、サウナ室が一時的に過圧になることにより既存の空気を強制的に排出させるという原理です。(ロウリュ時以外は給気になる)
ダクトは、ドラフト効果を使用して新鮮な空気をサウナ ルームに送るというものです。

私がフィンランドで体験したサウナも自然換気を利用したものがありました。

サウナのドアの下は隙間が空いていることが多く、天井付近やベンチの下に開閉できる通気孔があるサウナもありました。
新鮮な空気を取り入れるためのダクトを備えているサウナも体験しました。
唯一セミオープンフロアは体験できませんでした。ただ単に気づていなかった可能性もあるので、またフィンランドに行った際は是非体験したいと思います。

Sauna Hermannのサウナのドア。下に隙間がある。
Kuusijärvi左下に給排気孔
Tahmelan Huvilaのヒーターとダクト

フィンランドでのサウナは居心地の良いもので、無理なく充分に体を暖めることができました。
以前から感じていたのですが、日本のサウナは息苦しいと感じることが多くあります。体が充分に温まっておらず、もう少し入っていたいのですが息苦しくて出てしまうことが殆どです。
これもサウナが嫌いな人が多い要因の一つだと思います。

私がサウナをつくる上で一番大切だと思うことは、
「サウナの心」をよく理解することです。
サウナの心を理解するには、歴史や文化的知識を学び、実際に体験することが重要だと考えます。
そして何より楽しむこと。

SAUNAの魅力が伝わるSAUNAをつくり、みんなで楽しみましょう!

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