「最も神聖なサウナとは?」
タンペレとユバスキュラの中間に位置するヤムサ市外にそれはある。
辺りには本当に何もない田舎だ。
でもどこか親近感や懐かしさを感じるのは、北海道の風景と似ているからか。
こに風景は自分の生まれ育った地元道東の風景と似ているように思う。
kylä(キュラ)はフィンランド語で「村」の意味。
サウナ村。サウナ好きなら、その言葉を聞くだけでなんだかワクワクすると思う。
サウナキュラは、フィンランド各地からスモークサウナを移設して集めたサウナの野外博物館。
スモークサウナとは、煙突を持たない伝統サウナで、2時間から8時間も薪をくべ続け、大量の石が直接炎に焼かれ熱する。充分に過熱が終わったら、熾火をかたづけ、室内に滞留した煙を逃し入浴をする。大量の石は蒸気を出し続ける蓄熱性を持つ。
フィンランド語でSavesauna(煙のサウナ)と言う。
敷地内にはサウナ小屋が立ち並ぶ。
代表のサイヤ・シレンさんのガイドでいくつかのサウナを見学させていただく。
今では26棟ものスモークサウナが展示され、最古のものは18世紀に建造されたものだという。
こちらは2階建てのサウナ入口。かなり低いドア。
サウナ室に入った瞬間、
鳥肌が立った。
石積みのストーブが威風堂々と鎮座している。
凄い。
この空気感。
まさにフィンランドの格言にある、教会のように神聖で、
本当にトントゥ(フィンランドに伝わる小さな守り神)が現れそうな空間。
当時の人々が利用していた姿が思い浮かぶ。
1階のスペースで体を洗っていたのだそう。
ロフトのようなつくりの2階ベンチ。
壁や天井は煤で真っ黒。
「まっくろくろすけ」が出てきても不思議ではない雰囲気。
2階ベンチから見たストーブ。
こちらは土手を利用して地中に造ったサウナ。
Earth sauna(アースサウナ)やPit sauna(ピットサウナ)と呼ばれる。
入って右手にストーブ。
入って正面にベンチがある。
事前に暖めていただいていたスモークサナに実際に入る。
大量の石が積まれたストーブ。
大量の石が積まれたストーブとベンチ。
約8時間かけて熱せられ、燻されたサウナに感謝しながら入る。
サイヤ・シレンさんからロウリュはゆっくりと、という説明があった。
実際にロウリュしてみるとその理由を理解した。
石は予想以上に加熱されており、一度に電気ストーブの場合のように投げると、火傷するくらいの熱さになってしまい、かといって少量の水を投げると、ロウリュはあまり感じられない。
一点にゆっくりと流すと、一番上の石がジュッと鳴り、下に落ち、ジュッ、ジュッと続けて鳴る。最後に「ジュワーー」という音が鳴り響き渡った瞬間、スモークの香りを含んだ繊細な蒸気が身体全体が包み込まれた。
全身が震え、時空の旅へ。
目を瞑るとタイムスリップ。当時の情景が自然と浮びあがる。
サウナに魂が宿っていた。
神聖な空間。
「サウナは教会に入るように振る舞え」という格言の意味を理解した気がした。
サウナキュラのストーリーを紐解くと、敬服の念に堪えない。
前身であるムーラメサウナ博物館が閉業し、それを引き継いだムーラメ市も手放さざる得なくなり、行き場を失っていたスモークサウナをサウナ協会を設立して継承、サウナキュラをオープン。
土地から、サウナの移築費、実際にサウナとして利用するための修繕費もサウナを暖める人員も、寄付とボランティアで全て賄ってきたという。
スモークサウナを生きた文化として魅力を伝える、サイヤ・シレンさんとサウナキュラ。
人を動かす魅力と、それを守り伝えていく、どちらからも内に秘める底力を感じた。
サイヤ・シレンさんに心より感謝いたします。
Kiitos.
コメント
コメント一覧 (2件)
はじめまして、60代男性です。
フィンランド一人旅を今年7月に計画しています。(初フィンランド)
基本ヘルシンキの滞在なのですが、
是非、サウナキュラのスモークサウナを体験したいと思っています。
行き方、近くで1泊した方が良いのなら近くのホテルなど教えていただけないでしょうか?
よろしくお願いします。
Moi!
フィンランド旅行を計画されているのですね!
私は前日にユバスキュラに宿泊し、バスを乗り継いで最寄りの停留所に下車、徒歩15分ほどで到着しました。
ホテルは近くだとヤムサという街に何軒かあります。
ヘルシンキからだとVRでタンペレまで行き、バスに乗り継ぐと行けると思います。
行き方はGoogleマップで検索すれば、交通機関の乗り換えなども全て分りますので、ご自身のご予定に合わせて検索してみてください。
私はアプリを利用して乗車していましたしたのですがその場合、事前にアプリをインストールし、クレジットカード等を登録しておくとスムーズです。
サウナキュラは本当に素晴らしい場所なので是非行ってみてください!
Kiitos.